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MEDIA 2012.08.31

耐震偽装、単独の暴走

日本経済新聞
平成18年12月27日付 
耐震偽装、単独の暴走
地裁判決「職業倫理ない」 耐震偽装、単独の暴走
耐震強度偽装事件で、元一級建築士、姉歯秀次被告(49)を懲役五年の実刑とした二十六日の東京地裁判決は、利得目的で構造計算書の偽造を繰り返した犯行を「職業倫理や責任感は見出せない」と厳しく非難、一連の事件で「最大の責任がある」と認定した。偽装発覚から一年余。マンション住民からは、改めて同被告や偽装を見抜けなかった行政に対する怒りの声が上がった。


「偽証罪のみでも実刑」
一連の事件では計六人が起訴された。だが「組織的詐欺」の疑いもあるとみて捜査に着手した警視庁などの見立ては外れた。見せ金増資などで有罪が確定した藤田東吾・イーホームズ社長(45)ら二人の判決は「耐震強度偽装事件との因果関係は認められない」と認定。捜査、裁判を通じて偽装そのものは姉歯被告「単独犯」の構図が固まった。この日の判決も構造計算書を偽造した建築基準法違反について「建築士が意図的に改ざんする極限的な事態は想定されていなかった」と指摘。「偽装を見抜けなかった元請け設計者、検査確認機関、施工業者らが責任を問われる余地が全くないかは別として、最大の責任は一級建築士の信頼を逆手に取り、専門的技能を悪用した姉歯被告にある」と断じた。求刑通りの実刑を言い渡した量刑判断も、自己の利益を図る目的で偽装に手を染めた経緯や、居住者の生命の危険に直結する結果の重大性、国民全体に与えた衝撃の大きさを考慮した結果。「矯正施設への収容を通じ、罪の重さについて認識を深め、贖罪(しょくざい)に努める責任がある」と強調した。弁護側は建築基準法違反罪(罰金三十万円以下)の法定刑の軽さを、議院証言法の偽証罪(懲役三月以上十年以下)で補うのは「不当」と主張したが、判決は姉歯被告に偽装するよう圧力を受けたと名指しされ、非難を浴びた篠塚明・木村建設元東京支店長(46)=建設業法違反罪で有罪確定=の「処罰感情は峻烈(しゅんれつ)」と指摘。「偽証罪のみでも実刑」として退けた。判決の言い渡し後、川口政明裁判長は姉歯被告に向かって説諭した。「あなたからは、大変なことをしでかしてしまった、という感じが伝わってこなかった」


国交省の防止策
耐震強度偽装事件を受け、国土交通省は建築士への罰則強化や構造計算書の二重チェックなどの再発防止策を打ち出した。国交省は「今後は姉歯秀次被告のような建築士が現われても防げる」とみている。
【日本経済新聞 平成18年12月27日付】


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